ビジョンを実現するために自分と約束をする

 

何年も使っているというその手帳は、カバーのベルトが止まらないぐらいにパンパンにふくらんでいる。持ち主は、Un amiのスタイリストであり、先日、オープンしたばかりのjoemi by Un amiのマネージャーでもある小倉太郎さん。

「今のようにスマートフォンがなかった時代からこの手帳を愛用しているので、中身は、アナログな手書きの住所録や、そのときそのときに忘れないでおこうと書きとったメモなどです。仲間で撮った写真やお客さまからいただいたメッセージカードなども挟んでいるので、結構な厚さになってしまいました(笑)」

さわらせてもらうと、ずしりとした重みがある。革のカバーは、もともとのボルドーカラーが時を経て、さらにツヤツヤとした飴色になっている。

「3年前、尊敬してやまない森内雅樹さんがUn amiをオープンさせると聞いたとき、この手帳に書いたことがあるんですよ」。そう言うと彼はあるページを見せてくれた。そこには、「5年間で200坪をこえるUn amiを作る!!」と書いてある。

「Un amiは、フランス語で友達という意味のアミがコンセプトです。そのコンセプトを生かし、お客さまとのつながりを大切にしたいという思いから、より近い距離感で接客できる40坪の落ち着いた空間にしました。少し前まで働いていたGARDEN harajukuは、200坪ですから、1/5の狭さです。でも、僕は当時、一番のライバルはGARDEN harajukuだと思ったのです。もちろん、いろいろなヘアサロンがあって、それぞれにみんな頑張っていることも知っています。でもGARDEN harajukuは、その前身のneutralの時代から、僕が育ててもらった場所であり、僕がつくってきた自慢のヘアサロンです。だから、『200坪をこえる』を自分の内なる目標にしたのです」

小倉さんがマネージャーとして手腕を振るうjoemi by Un amiは、GARDENグループとしては初の新宿上陸。未開の地、未経験の場で新たに店舗をオープンさせることに、多くの不安もあっただろう。けれども「ときおり思い出したようにこの手帳を開くんですよね。ここには、自分のまっすぐな思いがいろいろ詰まっているから」。そう言って、手帳を閉じる小倉さんの目には、迷いや不安は感じられない。

「Un amiがオープンして、joemiがオープンした今。たぶん、あと数店舗オープンさせたら合計で200坪を超えて、僕の当初の目標は、ひとつ達成できます。『新宿という激戦区なのにこのスタイリストの人数で大丈夫?』と心配してくださる方もあるんですけれど、原宿でUn amiをオープンさせた当初のスタイリストの数と同じなんですよ。joemiのオープンにともなってUn amiもスタイリストの人数が減るけれど、それもオープン時と同じになるだけ。スタッフが育って、人数が増えて、その環境にぬくぬくと慣れてしまっていたら『大変!』とあせったのかもしれませんが、Un amiにとってはリスタートであり、joemiはスタート地点に立ったばかり。GARDEN harajuku、Un amiと成功してきたんだから、joemiだって大丈夫。今までどおり、お客さまを可愛くしたい、キレイにしたい、心のこもったもてなしで癒したい、思いは一緒です。そして、Un amiでもjoemiでもこれまでと変わらずに一生つきあっていく仲間をつくっていく。自分との約束だから、守るのも破るのも自分。もちろん、約束は守りますよ」