裏方こそが主役! どうせ歯車ならば、目指すのは大きな歯車

 

組織の歯車になんかなりたくない。そんな風にイキがることも悪くはない。けれど、冷静に社会や組織の成り立ちを判断し、自分の存在意義を見いだすと、実はその歯車ひとつひとつこそが重要であることに、早くから気づく人間もいる。

「新しく入ってくるスタッフのために今、シャンプー講習のDVDを制作しているんです」((Ramie店長•加藤貴大さん)

 店休日の朝早く、バックルームで黙々とパソコンに向かって作業をしていた彼は、自分が取り組んでいることを教えてくれた。

「お客さまに支えられてお店が大きくなるに連れて、スタッフもどんどん増やしていかないといけない。お店が小さかった頃の教育システムのままじゃ、多くのスタッフを採用する今のGARDENには合わないことも増えてきているんです。先に育ててもらった僕たちは、これからここで育つスタッフたちに何がしてあげられるのか?毎日、試行錯誤しながら、自分がしてもらってよかったこと、不合理だったこと、いろいろ思い返しながら、今、一番有効な方法を探っています。GARDENには、今年、地方からもたくさんの新入社員がきてくれますが、地方に住んでいるからという理由で、東京圏に住んでいる新入生と与えられるものに差がつくのはフェアじゃない。せっかく遠方からGARDENを選んで来てくれるんだから、そんな新入生たちにも、きちんとGARDENの技術を分け隔てなく与えたいんです。そこで今年、初めてシャンプー講習のDVD制作を手がけることにしました」

 制作しているDVDは出来上がり次第、入社予定の全新入社員宅に届けられるという。

「シャンプーは実践しないと上達はしません。でも、シャンプー台もなにもないところでも、手順を覚えたり、何のためにその行為があるのかといったことは、事前に予習することができる。イメージトレーニングをきちんと積むことで、スムーズに実践に入れる。入社して一番最初のハードルはシャンプーテストに合格するかどうかだけれど、僕は挫折からのスタートじゃなく、成功体験を早い段階で味わって欲しいと思っているんです。目の前にいないときでも、離れているときでも、スタッフのことを放ったらかしにするんじゃなくて、離れていてもできるだけのことはしてあげたいなって」

 ひとしきり説明を終えると、彼は雑誌の山をチェックし始めた。

「シャンプー講習のDVDも急いで作らなくちゃならないんですが、トレンド対策の資料も早く完成させてサロンスタイルの打ち出しをみんなで共有したいんです。あれもこれもやりたいことがいっぱいで、店休日も、ついつい出社しちゃうんですよね(笑)」

 誰も見ていない店休日の朝のバックルーム。黒いTシャツに黒いボトム。まるで意識的に黒子に徹しているような装いで作業に打ち込む彼。誇りに満ちた笑顔で笑う彼は、歯車の歯が大きければ、組織を大きく変える力があることを知っているかのようだった。