全員でやる気スイッチを押し合うのがGARDEN流の朝礼

 

複数のスタッフが働くヘアサロンという職場で「朝礼」を行っているところは、どれほどあるのだろうか。連絡事項を伝える場として朝礼を行っているサロンも多いかもしれない。逆に朝礼を行う時間はもっと他のことに使った方が有意義だという判断のもと朝礼を行わないサロンもあるかもしれない。

 GARDENの朝礼は興味深い。その日、そのサロンで働く全スタッフが一堂に会し、顔を突き合わせる。朝礼の当番が「おはようございます」と口火を切ると、伝えたいことがあるスタッフが次々と発言をする。「ハイ!」と言って自分が発言することを意思表示し、全スタッフの視線が注がれる中、共有したい情報や思いを発信する。そこではアシスタントもベテランも関係なく、発言の連鎖が生まれる。ある日の朝礼は、こんな風だった。

「デビューしてまだ数ヶ月ですが、技術がすべてだということを毎日、ヒシヒシと実感しています。もっとできたんじゃないのか?お客さまにいただいたお時間を一秒足りとて自分は無駄にはしなかっただろうか?プライス以上のものをきちんとご提供できたのか?お客さまをお見送りするたびに実は、一人悔しい思いをしています」(GARDEN TOKYO スタイリスト•絹村友也さん)

 晴れてデビューして、さぞ楽しい気分で仕事をしていると思っていたまわりのスタッフは、静かに驚きの表情を彼に向ける。

「デビューがゴールではありません。デビューするとお客さまがいらっしゃっている時間に準備はできませんが、デビュー前ならお客さまがいらっしゃる時間も自分の取り組み方次第で、将来の自分のための準備の時間になります。1年生の皆さんは特に、何をやっていいかわからないからと時間を無駄にせずに、いろいろなことに意味があるという姿勢でお店をみてください」(絹村さん)

 「ハイ。今朝、バックルームの隅にゴミが入ったコンビニの袋がいくつか放置されていました。『後で捨てればいい』と思って忘れてしまったのかもしれませんが、お客さまがいらっしゃる場だけでなく、バックルームも含めて、GARDENは、みんなが気持ちよく働ける場で合って欲しいと思っています。私たちは美容師であると同時に社会人です。自分で出したゴミは、すみやかに自分で片付ける。社会人として当たり前のことをまずは徹底しましょう。飲みかけのものが置いてあるのを見て気持ちがいいと思う人はいないと思います。普通のことが普通にできるお店でありたいと思います」(GARDEN TOKYO スタイリスト•秋葉千菜さん)

 数々の雑誌で指名が入る花形プレイヤーの彼女に憧れを抱くスタッフは多い。そんな彼女が「今シーズンのトレンドは云々で」などではなく、いち社会人としてのマナーを説くと、人気美容室でスター美容師のそばにいることで浮き足立ちそうになっている若手スタッフたちは、ハッと我にかえった表情になる。

 個人に埋没しがちな情報をシェアする。チームとしてのモチベーションをあげる。ゴールのイメージを共有化する。人前での発言の訓練をする。スタッフのコンディションを確認する。

 ただの連絡事項ならばメールで済むが、顔を突き合わせることでしか共有できない「何か」がGARDENの朝礼には凝縮されている。そしてその凝縮が毎日あることで、100%以上の濃度をGARDENという組織は何年も維持している。